令和6年4月鑑賞会

葉桜が目立ってきた令和6年4月21日(日)の午後、4月の支部鑑賞会を市川市文化会館で20余名の参加を得て開催したので活動報告とします。
今回は研師の藤代龍哉氏に講師をお願いし、短刀1口、刀2口、脇差2口の名品を御持参頂きました。鑑定順に来、祐定、繁慶、兼元、包貞の5口でした。典型作ばかりで95点が二人、以下90、88、85と高得点が出ました。当日の様子は画像にて雰囲気を感じ取って下さい。
1号は小振りの短刀で鎌倉後期の体配、山城伝三字銘の逸品。地肌は流れ心あるも地沸が見事。殆どの方が一の札で当たりでした。帽子が常の富士よりやや丸い点をとらえ来以外の札もありました。
2号は重く長いがっしりとした体配。刃縁は締まり、焼き幅広く、刃中に葉が多くみられ清光がよぎる。俗名こそありませんが天正の裏年紀がある名品。作柄から冬廣、平高田の札もありましたが素直に末備前に入れたい。
3号は一見大磨上に見えるがやや変形のうぶ脇差で同作にはこのような異形が見られるとのこと。地鉄肌立ち、沸がギラつき、粗見で薩摩にも見える。三棟の中幅狭く、卸が急なところを見逃さないこと。
4号は1尺8寸強、反り深い大脇差。表は規則的な3本杉、裏はやや不規則な3本杉で後代の兼元調であるが地鉄の良さ、砂流し、金筋の働きありで孫六の極め。銘は太く大振りでした。後代での入札がベストとか。
5号は反り浅く、元先の幅差つく寛文新刀の体配に大阪焼き出し、玉無しの濤瀾を焼き、地刃が綺麗に冴える。助廣との違いは焼き出し、濤瀾の大きさ、帽子の返りの3点とのことですが、簡単ではないです。包の字体に初代と2代の違いが顕著で本作は2代。

藤代先生、ご参加の皆様 有難うございました。
次回は5月19日を予定しております。奮ってご参加下さい。

 

令和6年3月鑑賞会

お天気に恵まれた3月17日(日)の午後、支部鑑定・鑑賞・勉強会が市川市文化会館で20余名の参加を得て開催できましたので活動報告とします。
今回は著名な刀剣研究家の岩田隆氏に講師をお願いしました。特重、重要を含む五口を御持参頂きました。
1号は大磨上げ京物の太刀。姿美しく、地鉄は極上、肌は緩みなく、地沸が走る感あり、狭い焼き幅に雁股が点在する。健全さと荘厳さに驚きと畏敬の声が上がりました。
これで在銘なら重文クラスでしょう。眼福の言葉がぴったりです。時代を外した札はありませんでした。
2号は在銘の古備前太刀。小乱れ沸えづく焼き刃にやや黒めの大きな地斑映りが見られ、よく練られた地鉄から入札は備前伝に集中しました。
国入りで長船、一文字、雲類などに散りましたがそれぞれの特徴を除外すれば古備前に行くのではとの解説ありました。そう簡単ではありませんが。
3号は新々刀で清麿一門の刀。大切先、ゴリゴリ感、刃中の足が長くいかにも新々刀で時代を外した札はありません。師匠の清麿と比べて二段階くらい大人しいというか
上品な出来であり若干札が散りましたが皆さん最終的には清麿一門に落ち着きました。
4号はやや長め、やや反りのある伊勢の短刀。表裏揃った刃文もあり半数の方は当たりでしたが 一方で山城、相州、美濃、三品などの入札もありました。
久しぶりに見る金無垢台付き鎺と普段目にする伊勢ものより一段と出来が優れていたせいもあったでしょうか。
5号は在銘の片山一文字太刀。岩田先生からは同じ一文字でも福岡、吉岡、片山それぞれに微妙な違いがある点の解説を頂きました。
三作帽子を拠り所とした意見もありましたが、三作帽子と丁子が共存する例は少なく、帽子のみの鑑定は避けたいとのことでした。

市川市の広報誌を見て相談の方がありました。当支部では刀剣類の販売、買取はしませんがご相談には出来るだけ対応いたします。
見学ご希望はこちらの準備もあり事前連絡をお願いします。本ホームページのお問い合わせも活用ください。
会員が一人増えました。少し遠方からのご参加です。会員各位のご協力をお願いします。
次回は4月21日(日)午後 市川市文化会館で藤代先生の予定です。

 

令和6年2月鑑賞会

梅便りが届く2月18日㈰の午後、当支部の勉強鑑定鑑賞会が市川市文化会館で20余名の参加を得て開催できましたので活動報告とします。
つるぎの屋店主の冥賀吉也先生を講師にお迎えしました。先生は保昌、國廣、住人忠吉、近江大掾忠廣、左行秀の五口を御持参くださいました。
保昌は大磨上の金象嵌極め、鎬幅広く、鎬高く、柾目が目立つ大和傳。目釘孔が五つあり長年愛蔵されてきたことがわかります。國廣は長寸、大切先の慶長姿でざんぐり肌より一段綺麗に詰んだ地鉄。同然でも国儔は良い、親國はまずい、と。忠吉は反り深く、物打ちの働きが素晴らしく、刃区たっぷりの細身脇差。小糠肌よりやや粗目の鍛え。忠廣は延宝頃のゴリゴリ体配で、いわゆる小糠肌、肥前刀大鑑の所載品で、三代陸奥の見方は悪くない、と。行秀は地鉄も焼刃も柾目尽しの新々刀らしいゴリゴリ品。立派な鞘書もありました。今回の勉強会に際し、先生は地鉄の勉強になる御刀を選んで下さいました。柾目鍛えは鎌倉の保昌、慶長の国包、新々刀の徳勝、行秀など決して多くはないので、よく覚えておくようご指導がありました。85点が二人出ました。
会の途中、支部ホームページの管理状況の報告と、能登半島地震 被災地支部に対する義援金を協会本部を通じてお届けする旨の議事があり各位の賛同を得ました。
3月鑑賞会は17日午後、いつもの市川市文化会館で岩田隆先生にお願いしております。

 

令和6年1月支部総会と鑑賞会

令和六年一月十四日(日)、千葉県支部の年次総会と新春名刀鑑賞会が市川市文化会館で青木支部長、千葉県東部支部長以下二十余名の参加を得て開催できましたので、報告させていただきます。総会では支部の活動方針確認、前年の事業報告・会計報告、新年の事業計画・予算などが審議され、委任も含め満場一致で可決されました。意見交換としては昨年7月に開設した支部ホームページHPの現状と課題がありました。開設目的に対する達成度や費用対効果の観点から暫くは現状維持するも、HPの簡素化、低コスト化を検討することになりました。他支部のHP運営も参考にさせて頂きたいと思います。支部の顧問で協会専務理事の柴原様にもご臨席いただき、協会本部の状況、刀剣博物館で開催中の特別展正宗十哲の盛況ぶりなどをご紹介いただきました。総会後は新春名刀鑑賞会に移りました。協会本部からは石井学芸部長にお越しいただき、重美を含む五口の名刀を御持参頂きました。古一文字と古備前の二太刀、慶長刀、寛永短刀、天保短刀の名品でした。入札後は、石井先生から回答、解説、講評を頂きました。二口の太刀はいずれも鎬筋を超える映りが見られる鎌倉中期以前の作風、慶長は一門の特徴が随所に出た作柄、寛永は裏に倶利伽羅彫のある時代的には少数短刀、天保短刀は重ねが異様に厚くも鎧通しとは異なる出来と新春に相応しい豪華な鑑定鑑賞刀でした。天地人はそれぞれ73,71,70の僅差で入札上位者にはお年玉が出ました。鑑賞会の後は場所を変え、石井先生を囲んでの新年懇親会が四年ぶりで開催出来ました。石井先生には新年早々また特別展で御多忙の中を千葉県支部にお運びいただき有難うございました。この場を借りて、改めて御礼申し上げます。
次回は2月18日、次々回は3月17日を予定しております。

令和5年5月支部鑑賞会報告

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