令和5年鑑賞会

令和5年度11月支部会鑑賞会

秋晴れに恵まれた令和5年11月19日(日)の午後、11月の支部鑑賞会が市川市文化会館で20余名の参加を得て開催できましたので報告します。

今回は研磨師の藤代龍哉氏に講師をお願いし、太刀1口、刀2口、脇差2口の名刀を御持参頂きました。
鑑定順に一文字、之定、長道、康継、正秀の5口でした。難易度が高くも、古来の掟を参考にすれば2の札3の札で当たりをとれる御刀もありました。当日の様子は画像にて雰囲気を感じ取って下さい。

1号は生茎で、健全ゆえに先に行っても反りが伏さらず藤末鎌初より少し時代を下げたい逸品。飲込のない鉄鎺も珍しい。
2号は美濃物にしてはやや長寸で白気少なく尖り刃を見つけないと難しい名品。帽子に注目すれば美濃物に確定か。
3号脇差は長めの焼き出しに地味な湾たれから虎でイヤ、ならば長道の掟通り。刃中の働きが少なく虎に一歩譲るか。
4号は葵紋に南蛮鐵の使った三代康継で作品少ない珍品。葵紋が鮮やかでした。
5号脇差は涛欄に玉を焼き、助廣でいや、ならば水心子の掟通り。私見では助廣、照包、水心子の順も頷けます。

当日は大刀剣市二日目(最終日)と重なり、参加者が少ないことも懸念されましたが、午前は大刀剣市、午後は支部鑑賞会に参加された方もいました。刀剣病ですネ。

なお12月は休会とし、新年1月14日(日)に新年総会、協会本部講師による鑑賞会、新年会を予定しております。詳細は追ってご連絡します。

令和5年度10月支部会鑑賞会

秋の気配が深まる令和5年10月29日(日)の午後、当支部鑑賞会が市川市文化会館で20余名の参加を得て開催できましたので活動報告とします。

今回はつるぎの屋店主の冥賀吉也氏が講師としてお越し下さいました。長光太刀、出羽大掾国路刀、出羽大掾国路脇差、山城大掾国重脇差、長雲齋綱俊・是俊合作脇差の五口を御持参頂きました。長光は金象嵌極め、猪首切先に鎌倉中期頃の体配、蛙子丁子の華麗な刃文の出来。長光は長命であり、その作風は幅広く、大別して光忠に近い初期作、直刃が多い晩年作、初期と晩年を補う中期作があると。また同じ丁子を焼く一文字や畠田との違いをご説明頂きました。

国路刀は長寸で重量感あり、慶長新刀然の作品。出羽大掾も長命であり、50年近く作刀しているため作風はいろいろ。堀川風もあれば三品風もある。極め処としては鎬地の柾、逆掛かる互の目、砂流し、三品帽子があげられる。国路脇差は同様の作風の平造で、重要刀剣指定の逸品。慶長頃に流行った大振りの平造でこの姿は国儔、国助などにも見られる。国重は備中水田派で慶長以降に栄え60名以上(備前祐定も60名以上)いたとされる。その割に鑑定刀に使われることは少なく、本日もすんなり当・同然とイヤイヤの悪戦苦闘が半々程度でありました。

沸が粗く、棟焼きも見る。新刀姿でどこか荒々しい作風はしっかりと記憶すべき作風でした。綱俊・是俊の合作は焼き出し長く、丁子を交えたあと帽子は簡素、地鉄は詰んでおり新々刀と見るべき作品。乳割裁断銘もあり切れ味は良さそうでした。

冥賀先生には第35回大刀剣市準備のお忙しい中をお越しいただき、改めて感謝いたします。その大刀剣市は恒例の東京美術倶楽部(新橋)での開催ですが、今年は11月18日(土)19日(日)の二日間です。例年は金土日ですので、お出かけ予定の方はご注意ください。

なお、11月19日午後は当支部の11月鑑賞会、岩田先生をお招きしての開催予定です

令和5年9月支部鑑賞会報告

残暑厳しい中、令和5年9月17日(日)の午後、9月の支部鑑賞会が市川市文化会館で20余名の参加を得て開催しましたので報告します。
今回は鑑賞会講師を藤代龍哉氏にお願いし、氏に短刀2振り、刀2振り、脇差1振りの名刀を御持参頂きました。鑑定順に美濃の兼常、備中の青江、多々良長幸、宇多国宗、陸奥守忠吉でした。いずれも難易度が高く、正解率は低い(天位で70点)ものとなってしまいましたが、支部会員一同名刀を鑑賞することができ満足の様子でした。 当日の様子は画像にて雰囲気を感じ取っていただけると幸いです。 会員の鑑定する姿、刀を手に取った視点から画像、刃文、今回は一部茎の様子も特別にご覧いただけます。 青江の短刀は延文年紀の裏銘ありました。 南北朝時代、足利尊氏が亡くなり、義満が活躍する前の頃です。 その時代の刀をこうして手に取って見られるとは何という幸せでしょうか。 日本人でよかった、刀好きでよかったと思える至福の時間です。 美濃の独特な刃文、宇多の皆焼(ひたつら)にも魅了されました。 今回は支部のホームページを見て、最年少、10代の見学者が訪れました。 とても熱心な高校生で自分もあのような時代があったと感慨に浸るとともに ぜひ若い世代にも入会して欲しいと切に思う次第です。 なお10月の鑑賞会は15日午後、市川市文化会館を予定しております。

令和5年7月支部鑑賞会報告

猛暑が続く7月16日(日)の午後、7月の支部鑑賞会が市川市文化会館で25余名の参加を得て開催できましたので活動報告とします。7月は例年通り刀装具鑑賞会としており、今年も刀装具研究で著名な尚友会会長 葉山氏に講師をお願いしました。
今回は鉄鍔に焦点を当てていただき、古今の名鍔30枚を御持参頂きました。
時代がかなり上がる小鍔をはじめ、甲冑師、刀匠、京透、尾張、肥後、金山、正阿弥、赤坂、信家、彦三、肥後などの名鍔が並び、圧巻でした。また十字架意匠や刀剣美術誌所載鍔もご紹介頂きました。
葉山氏からは時代の流れと背景、拵えとの関連から始まり、鍔一枚一枚の解説、見所、類似流派間の細かな違いなどを丁寧に解説して頂きました。鉄鍔三昧の午後でした。
余談では購入時のべからず格言、手入れ、保管、鑑賞の心得を頂きました。
衝動買いせず三日三晩は熟慮すること、鉄鍔も原則は手袋を嵌めての鑑賞とすること、手入れには顔の脂より丁子油が望ましいことなど 目から鱗、いやその通りといった声が会場から聞こえました。
散会後、支部役員に残って頂き、ホームページ開設の準備状況、意見交換を実施しました。
大筋で合意があり、公開によるさらなる意見徴収と改良、原稿作成の輪番、刀剣刀装具写真の吟味が話し合われました。
なお8月鑑賞会は夏休みとし、次回は9月17日(日)午後、市川市文化会館で講師に藤代先生をお迎えしての開催予定です。

令和5年6月支部鑑賞会報告

梅雨の中休みとはいえ真夏日のような6月18日(日)の午後、支部鑑賞会が市川市文化会館で25余名の参加を得て開催できましたので活動報告とします。
今回は著名な刀剣研究家の岩田隆氏に講師をお願いしました。堀川一門、山城古短刀、大阪新刀脇差の五口を御持参頂きました。 1号は志津写しと思われる反りの浅い、大磨上姿の國廣刀。初見では姿に迷う点があるが、板目・杢目の肌立ちでいわゆるざんぐり肌に気付けば國廣に行けるのでは。されど一の札で堀川一門への入札は2名のみでした。 周辺情報として大和志津、直江志津の関係が紹介されました。
2号は幅広、寸延び、反り浅い南北朝体配の短刀信國。櫃内に精緻な倶利伽羅が彫られている。この時代の山城短刀では信國が浮かぶが信國は何代かあるので、代別ないし官職名を必ず記載すること。
信國だけの入札はそろそろ卒業すること。信國代別の銘の違いの説明もありました。
3号は片切刃のいかにも慶長新刀といった豪快な脇差。焼詰め帽子もあって國安への入札はなし。國安としては一級品。
4号は鎌倉末の内反り短刀姿で入札はズバリ國廣とその他に大きく別れました。その他では来・之定・祐定・水心子等に散りました。重ね厚く、やや白気もあった。鎺を外せば水影がありました。水影は江戸時代には嫌われたらしく消されたり鎺で隠されたりしたとのこと。國廣は写し物も多作しているがとにかく上手です。
5号は3号と同時代の平造脇差で簾刃が顕著な大阪初代の吉道。殆どの方が丹波守吉道に入札された。丹波の字はいわゆる帆掛け模様。京の初代・二代と大坂初代の守に見られる鏨使いの違いに三者三様があり細かい点も鑑賞すべきとのことでした。 支部活動の普及啓蒙で市川市の広報誌に支部活動を紹介したところ3名の見学者がありました。皆様日本刀に興味あるが敷居が高いとのことで、やや緊張気味にお刀を手に取っておられました。お刀は歴史長く、美しく、安くはない、武器の一面もあることを念頭に長い目で仲間を増やす努力をしたいと思います。

ホームページは公開に向けての最終段階です。 もう少しお待ちください。 理事のF氏が「写真でわかる刀の見方・鑑賞の極意 松本啓之亮著」の最新刊をご持参されました。
刀剣の写真撮影はいろいろノウハウが必要ですが、写真家ならではの明瞭な写真が沢山、タイトル通りで鑑賞のツールになる感じでした。 7月は16日(日)午後 市川市文化会館の予定です。刀装具、小道具の鑑賞会になります。 手袋、ルーペをご持参ください。

令和5年5月支部鑑賞会報告

新型コロナ禍が一段落した令和5年5月21日(日)の午後、支部鑑賞会が市川市文化会館で30余名の参加を得て開催できましたので活動報告とします。
今回はつるぎの屋店主の冥賀吉也氏に講師としてお越しいただきました。
村正、長船清光、長曽禰興正、越前守助廣、近江守助直の五名刀を御持参頂きました。
村正は天文頃の体配、平造寸延びの脇差で表裏揃った刃文、関物の三本杉とは異なる三本杉、板目流れ、白気風で村正が導かれる。またタナゴ腹の茎形状に街道筋の類似性をご指摘されました。
清光はほぼ定寸で反り浅く、重ね厚く、複式互の目に淡い映りがたち末備前が導かれる。末備前では祐定・清光が有名で、祐定なら乱れ、清光なら直刃に葉となりますが今回は俗名と年紀入りの互の目清光でした。
興正は寛文頃の体配で物打ちの砂流し広く強く、刃縁のばさけ、すぐの焼き出しなどで江戸新刀が導かれる。腰元に興正固有の繰り返し刃文が出ている。助廣の脇差・助直の刀とも姿、地鉄、刃文、焼き出しから大阪新刀が導かれる。両者を並べ助廣と助直との違い、縁戚関係等の説明を頂きました。
助廣といえば濤瀾で有名ですが、直刃の名人でもあるとのことです。
刀鍛冶にも作刀期間の長短あり、助廣・真改・清麿は短期、近江大掾忠廣は長期の好例である。
その清麿の命日が11月14日であり四谷の宗福寺で清麿会が開催される予定。
近くなりましたら皆様に別途ご案内します。

また本年1月の総会で協議された普及広報活動として、市川市広報誌への掲載が6月になること、ホームページ開設の進捗が報告されました。ホームページの内容、経費については参加各位の賛同を得ました。
ただしホームページ作業は複数で行うこと、貴重な文化財を扱うので、新人には身元照会・身分証の提示を求めることが提起されました。

令和5年1月15日活動報告

小春日和が続いた令和五年一月十五日(日)、千葉県支部の年次総会と新春名刀鑑賞会が市川市文化会館で青木支部長以下二十余名の参加を得て開催できましたので、報告させていただきます。
総会では弊支部の活動方針確認、前年事業と会計報告、新年事業の計画・予算などが審議され、委任も含め満場一致で可決されました。総会時の意見として支部の発展(普及啓蒙や支部会員の増加も含む)に向けて支部ホームページの開設再検討、文化会館広報誌の活用、新人教育の充実などがあげられました。
弊支部の顧問で協会専務理事の柴原様にもご臨席いただき、協会本部の状況などをご紹介いただきました。総会後は新春名刀鑑賞会に移りました。 協会本部からは小祝大輝学芸部付調査課学芸員様を講師に派遣して頂き、特重を含む五口の名刀を御持参頂きました。古伯耆、大和、山城、江戸、薩摩の名品でした。入札は新春恒例の一本入札二名連記としました。 各自御刀を手に取り、記憶を辿り、刀剣書を繙きの悪戦苦闘のなか入札を終えました。入札後は、小祝講師から解説、回答、講評を頂きました。御刀それぞれの時代と姿に加え、造りこみや地金の色などから古伯耆、輪反りと鎬幅や刃紋構成などから大和、鍛えの良さに沸映りなどから山城短刀、長焼き出しに変わり鉄混じりで江戸、重さと芋蔓風などから薩摩といったよく見れば顕著な特徴から回答が導かれるのではないかとのことでした(簡単ではありませんが!)。
各自改めて講師が指摘された特徴や茎を開けての再鑑賞にしばし時の過ぎるのを忘れました。入札上位者にはお年玉があり、小祝講師から手渡されました。天から順にTo、De、Fu、Ka、Ma、Waの各氏でした。新年会懇親会はコロナ流行もあって三年続きで開催しませんでしたが総会・鑑賞会ができただけでも有難いと思います。 一日も早くコロナが終息し、またみんなで鑑賞会、懇親会、刀剣談義、愛刀自慢ができることを望んでおります。小祝様には新年早々またコロナ禍の大変な時期に名刀を担ぎ貴重なお手製の資料も併せて弊支部にお運びいただき有難うございました。この場を借りて、改めて御礼申し上げます。
千葉県支部は今年も八月と十二月を除き九回の刀剣鑑賞会と一回の小道具鑑賞会(七月)を市川市文化会館で開催する予定です。
近隣の他支部諸兄におかれましても、お誘いあわせのうえ当支部鑑賞会へ御参加頂ければ幸いです。 コロナ終息をねがいつつ本年もどうぞよろしくお願いいたします。